ビジネス書 自己啓発本 「本当に役立つ本」 紹介 !

年間300冊以上好きで読んでいますので、アウトプットしようと決意。できるだけ質のいい、活かせる情報を。

「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか? 経営における『アート』と『サイエンス』」  山口 周

多くの企業経営者は、コンサルタントではなく、デザイナーやクリエイターを相談相手に起用している。

エリートが働くグローバル企業では、今日、幹部候補生を、RCAなどのアートスクールや、米国のアスペン研究所などの哲学ワークショップに送り込んでいる。なぜ今、MBAプログラムの習得よりも「美意識」を鍛えるエリートが急激に増えているのか?なぜ今その「美意識」が必要なのか?そもそも「美意識」とは何なのか?どうすればその「美意識」が鍛えられるのか?
(RCA:英国のロイヤルカレッジ オブ アート)


読み手を引き込む文章で、その謎が解き明かされていきます!読みものとしても非常に面白いですが、これから何をインプットしていけば「より高品質の意思決定」ができるのか を知ることができ、これからもっと複雑になっていく社会で生きていくための武器になります。そういった意味で役に立つ本です。
新しい切り口で、示唆が多い!!おススメの1冊です!

さすが、ビジネス書大賞2018 準大賞!!だと思いました。

世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか

市場調査やマーケティング戦略など、分厚い提案書を作成し、多くの役員で検討を重ねてもヒット商品が全くでない昨今の日本企業。そんな日本企業の打開策を知りたい方、また純粋にその打開策や、10年程前から急激に増加している「エリートが行っていること」を自分の中にもこれから取り込んでいきたい方、美意識を高めたいけど何から手を付ければいいか知りたい方、そもそも、美意識やサイエンスやアートって何のことを言っているの?どんなつながりがあるの?ということを理解して活用したい方。必ず多くの示唆や気づきが得られます!

 

著者は慶應義塾大学文学部哲学科卒業。同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。
以前ご紹介させていただいた著者の「独学の技法」を読んでから、仕事で役立つ著者の本に惹かれ続けています。

booktime.hatenablog.com

 

 最近よく耳にするVUCAの時代。(V:Volatility 不安定)、(U:Uncertainty 不確実)、(C:Complexity 複雑)、(A:Ambiguity 曖昧「あいまい」)。

このような時代に、今までのような
「論理」「分析」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスのかじ取りをすることはできない。エリートやエリートが勤める企業はそういうことをよくわかっている。

それはなぜか?

その理由はこの本ではわかりやすく、また様々な文献や出来事(サイエンスに偏ったエリート集団が幹部を務めていたオウム真理教なども)を用いて説明しています。

そして、「サイエンス(論理や理性)」「アート(直感や感性)」という「美意識(真・善・美)」がなぜ必要か?これからどのようにその「アートや美意識」を鍛えていけばいいか、そのようなことが本当にやさしく書かれています。(でも内容は深いです!)

 

ポイントとして、

・なぜこれまでのように「分析」「論理」「理性」を重視した経営、つまり「サイエンス重視の意思決定」ではうまくいかなくなってきているのか?

 

理由は大きく分けると3つある。

①論理的、理性的な情報処理スキルの限界が出てきている

②世界中の市場が自己実現的消費」へと向かっている

③システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している

 

・①論理的、理性的な情報処理スキルの限界問題

これには2つ原因がある。

1)「正解のコモディティ化

2)分析的・論理的な情報処理スキルの「方法論としての限界」

 

 1)に関して

 長いこと分析的で論理的な情報処理のスキルを身につけることは、ビジネスパーソンにとっては必要とされてきた。ロジカルシンキング・仮説思考・MECE・ロジックツリー・数々のフレームワークみたいな理論や技術のこと)

しかし、みんなが同じように正しく論理的・理性的に情報を処理し、意思決定や問題解決しようとすることは、

他人と同じ正解を出す」ということでもある。(これがコモディティ化:フツーのありふれた事になってきているということ)
つまり必然的に

「差別化の消失」

という問題が出てきている。

経営におけるアートとサイエンスのバランスで、意思決定が過度に「サイエンス」に触れると、必ずこの問題が発生する。

差別化ができずに他社と同じ結論に至るということは、必ずレッドオーシャンで戦うことになる。(簡単にいうと、既に競合他社がたくさんいて、価格競争等の消耗戦になり、勝ち残るのが難しい領域のこと)

 

 2)に関して

 上記のようなVUCAの時代で、いたずらに論理的で理性的であろうとすれば、それは経営における問題解決能力や想像力の麻痺をもたらす。

合理性を過剰に求めると、企業の意思決定が停滞状態におちいる可能性がある。この状況は日本企業において非常に多く発生している問題

 

論理的に意思決定しようとすると、たくさんの情報が必要になり、分析を行う必要がでてくる。情報を集めるのにまずすごーく時間がかかっている。多くの日本企業の幹部や役員がいい情報を集めることができているのか?できる部下がいるのか?集めたとしても、ちゃんと分析に活かせているのか?論理的に活用できているのか?

 

すごく疑問。


結局情報だけあってもうまく活用できていない→意思決定が遅い→だらだら次の一手が打てない→諸外国企業に負ける。こんなことがずっと起こっているように思いますね。

 

経営に使われる論理思考のスキルは、問題の発生とその要因を単純化された「静的」な因果関係のモデルとして抽象化し、その解決方法を考えるというアプローチをとる。
しかし、問題を構成する因子が増加し、なおかつその関係が「動的」に変化するようになると、この問題解決アプローチは全く機能しなくなる。
時間とコストだけが膨れ上がる→生産性が低くなるのは当然のこと。

 

②世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かっている問題

エイブラハム・マズローの5段階欲求
生存の欲求(生理的欲求)→安全に生きたい安全欲求→集団に属したい帰属欲求→他社から認められたい承認欲求→自分らしい生き方を実現したい自己実現欲求 へと上位の欲求へと進展してきている。

 

人類史においてはじめてと言っていいほど「地球規模で経済成長」が進んでいる。そんな中、世界は巨大な自己実現欲求市場」になりつつある。

このような市場で戦うには、

人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要
になる。
すでに先進国だけでなく、多くの発展途上国にも当てはまるようになってきている。
筆者はひっくるめて


全ての消費ビジネスがファッション化しつつある


と書いている。
このような世界では、企業やリーダーの「美意識」の水準が、企業の競争力を大きく左右することになる。

 

③システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している

ルールとは、法律の整備と考えていい。

 

システムの変化に対してルールが遅れているような社会では、明文化された法律だけを頼りにして判断を行うという考え方は、結果として倫理を大きく踏み外すことになる可能性がある。

非常に危険。

この本では、旧ライブドアDeNAの不祥事を用いて説明されています。

で、結局

クオリティの高い意思決定を継続的にするためには、明文化された(はっきり制定された)ルールや法律だけをより所にするんじゃなくて、

内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められる。

自分なりの「真・善・美」の感覚、つまり「美意識」に照らして判断する態度が必要になる。

 

だから、最近の(というか数年も前から)世界のエリートは「美意識」を鍛えようと、MBAよりも、アート系の学校へ学びにいっているという。
論理的に「シロ・クロ」つかない問題について、何らかの決断をしないといけない場合、最終的に頼れるのは、個人の「美意識」しかない。

 

あのマッキンゼーもデザイン会社を買収したのは、こういったことを考えてのことらしい。詳細はこの本に書かれています。

 

・「アート」と「サイエンス」と「クラフト」

経営における「論理と直感」「理性と感性」(アートは直感と感性、サイエンスは論理理性、その組み合わせですね)の問題を考えるにあたって、ヘンリー・ミッツバーグは非常にわかりやすい考えや論文を出しているので、この本でも紹介されています。(ミッツバーグはMBA教育批判などで有名。高名な経営学者です)

 

ミッツバーグ曰く

経営というものは「アート」と「サイエンス」と「クラフト」の混ざり合ったもの。

(すごくわかりやすいシンプルな言葉でイメージをつかむために本書から単語だけ抜き出すと、アート:ビジョン、サイエンス:裏付け、クラフト:実行 あくまでイメージです)

 

「アート」は、
組織の想像性を後押しし、社会の展望を直感し、ステークホルダーをワクワクさせるようなビジョンを生み出す。(アップルのジョブズみたい)

 

「サイエンス」は、
体系的な分析や評価を通じて、「アート」が生み出した予想やビジョンに、現実的な裏付けを与える。

 

「クラフト」は、
地に足のついた経験や知識を元に、「アート」が生み出したビジョンを現実化するための実行力を生み出す。

 

帰納」と「演繹」から見れば、

個別の現象から抽象概念へと導く「帰納」は「アート」。

抽象概念を積み重ねて個別の状況へと適用する「演繹」は「サイエンス」。

ちゃんと学ぼうとするとちょっと難しい。けど、片方(帰納)だけイメージとして覚えておくと人に説明してあげるときに役立つかもしれませんね。

 

以上
①論理的・理性的な情報処理スキルの限界
②巨大の「自己実現欲求市場」の登場
③システムの変化が速すぎる世界
について少し書かせていただきましたが、

その他

脳科学と美意識
受験エリートと美意識
⑥美のモノサシ
⓻どう「美意識」を鍛えるか?

などについて、とても面白く、著者らしい文章でわかりやすく書かれています。アマゾンなどでも非常にランキングで上位に位置し続けている理由が読んでわかりました。


今までロジカルシンキング論理的・仮説思考など好んで読んでいましたが、それだけでは限界がきているという衝撃的事実。しかし、本当にその通りだから、今 日本は他の国に遅れをとっている(理由はそれだけでは無いと思いますが)、じゃあ、これからどういった知識を得るべきか、行動を起こすべきか!など、本当に多くの学びや気づきを得られました。

 

仕事上の雑談でも役立ちますし、何よりこれからの社会で生きていくには、読んでおいて損はない本だと思いました!読まなくても平気・・・というレベルでは無いのでご紹介させていただきました。ぜひ!おすすめです!

 

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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

 

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